腎臓病のわんちゃんための手作り食。豚ひき肉とはるさめを使ったレシピを紹介します。
比較的アレルギーの原因になりにくい食材である豚肉を使用し、炭水化物源として緑豆春雨を使ったグレインフリー仕様になっています。チキンやビーフ、穀物に対して食物アレルギーのある子にも適しています(豚、卵にアレルギーのある子は不可。豆類にアレルギーの子は注意してください。)
材料
豚ひき肉 | 150g |
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鶏卵 | L2個 |
緑豆春雨 (乾燥) | 120g |
片栗粉 | 40g |
野菜類 | 合計100g程度まで |
昆布 | 0.5~1g |
減塩しお | 1.5cc |
炭酸カルシウム | 1cc |
フィッシュオイル | 5カプセル |
マルチビタミン | 成人1日量 |
マルチミネラル | 成人1日量 |
亜鉛 | 成人1日量 |
春雨には緑豆でんぷんのみで作られている製品と、じゃがいもやサツマイモでんぷんが含まれるものがあります。アレルギーがある場合は製品ごとに原料をよく確認してください。
片栗粉もじゃがいもでんぷんです。じゃがいもにアレルギーがある場合は、葛粉やタピオカでんぷんなどを代わりに使うことができます。
作り方
①はるさめは熱湯で戻し、食べやすいように2〜3cmの長さに切っておきます。
②豚ひき肉と野菜類をフライパンで炒めます。油は使用しません。
③肉に火が通ったら水1カップと昆布、減塩しおを加えて1〜2分煮込んでスープを煮出します
④溶き卵2個分を回し加えて一煮立ちさせます。
⑤片栗粉を大さじ3杯程度の水で溶き、回し加えてあんかけ風にします。片栗粉は単純にとろみをつけることだけが目的ではなく、炭水化物源としてしっかり栄養計算に入っていますので、量は正確にはかりましょう。
⑥火を止めたら春雨を加え、粗熱をとってからサプリメント類を加えてよく混ぜ完成です。
栄養組成
(単位:g/1000kcal) | 腎臓病用療法食 | このレシピ |
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タンパク質 | 35〜40 | 42 |
脂質 | 45~50 | 53 |
EPA+DHA | 1.2~1.9 | 1.7 |
カルシウム | 1~1.5 | 0.8 |
リン | 0.5~0.9 | 0.4 |
カリウム | 1.5~2.2 | 1.1 |
ナトリウム | 0.3~0.9 | 0.6 |
このレシピの計算上の総カロリーは約970kcalです。※野菜を除く
リンについては、療法食としても低すぎる数値ではないかと思われるかもしれません。しかし、このレシピに含まれるリンは、ほとんどすべてが吸収率の高い動物性食品由来となっています。
一般的な療法食では炭水化物源に米やトウモロコシなどの穀物が使用されていますが、こうした穀物に含まれるリンは極めて吸収率が悪いことが知られています。
吸収率の違いを考慮すると、実際に利用可能なリンの量としては大きな違いはない可能性があります。計算上の数値にこだわって、わざわざリンを足すようなことはすべきではないと考えます。ただし、定期的に血液検査をうけて、リンの数値は確認していきましょう。
カリウムも低めのレシピになっています。カリウムは野菜にも多く含まれるため、使用する野菜の種類や量によっても変わってきます。低カリウム血症が問題になるようであれば、カリウムのサプリメントを検討します。
豚肉
豚肉は良質なタンパク源で、牛肉や鶏肉同様、わんちゃんの腎臓病手作り食に使うことができます。また、ペットフードに使用されることが比較的少ないため、食物アレルギーの原因になる可能性も比較的低い食材です。(あくまでも"比較的"であり、豚肉にアレルギーがある子も少数ながらいますのでご注意ください)
ひき肉を使うときに注意しなければならないポイントは、赤身(タンパク質)と脂身(脂質)の割合に製品によってバラツキがあることです。アメリカなどでは脂肪の割合に規格があり、表示が義務付けられているそうですが、日本にはそのような決まりがないので、それぞれのお店の判断に任せられているのが現状です。計算上の栄養組成はあくまでも推定値であり、実際には異なる可能性があるということは覚えておきましょう。
緑豆はるさめ
緑豆はマメ科ササゲ属に属し、小豆やササゲと近縁の植物です。ペットフードに使用されることはほとんどないため、食物アレルギーの子のための除去食として活用できる可能性があります。ただし、大豆やエンドウ豆と交差反応を起こす可能性は否定できないため、豆類にアレルギーがある場合には注意してください。
春雨はでんぷんを原料とした加工食品であるため、タンパク質、リン、カリウムが極端に少ないという特徴があります。これによって、レシピの栄養組成も低リン、低カリウムになっています。
おわりに
豚肉はチキンと並んでうまみの強い食材で、わんちゃんも大好きだと思います。
手作りごはんの最大のメリットはペットフードよりもおいしいことです。食欲が低下してくる腎臓病では、いかにして十分なエネルギーを摂取させるかが大切です。"味"は非常に重要な要素となります。
たとえ栄養バランスが完璧であったとしても、わんちゃんが食べてくれないマズいごはんには何の価値もありません。おいしいごはんを食べさせてあげられるように、日々努力していきましょう。
【免責事項】
紹介したレシピは、すべての腎臓病の患者さんに適したものであることを保証するものではありません。かかりつけの獣医師の指導のもとで使用してください。ご利用は自己責任でお願いします。無断転載はご遠慮ください。