腎臓病のわんちゃんための手作り食。マカロニとサバ缶、ゆでたまご、じゃがいも使ったマヨネーズ味のサラダ風レシピです。
通常タイプと低脂肪タイプのレシピを紹介します。
材料
①通常タイプ
さば水煮缶 | 70g |
---|---|
鶏卵 | L1個 |
マカロニ(乾燥) | 150g |
じゃがいも | 200g(可食部) |
マヨネーズ | 大さじ2(30g) |
野菜類 | 合計100g程度まで |
昆布粉末 | 1cc |
炭酸カルシウム | 1cc |
マルチビタミン | 成人1日量 |
マルチミネラル | 成人1日量 |
亜鉛 | 成人1日量 |
②低脂肪タイプ
さば水煮缶 | 70g |
---|---|
鶏卵 | L1個 |
マカロニ(乾燥) | 150g |
じゃがいも | 200g(可食部) |
マヨネーズ | 小さじ2(10g) |
粉飴 | 50g |
野菜類 | 合計100g程度まで |
昆布粉末 | 1cc |
炭酸カルシウム | 1cc |
マルチビタミン | 成人1日量 |
マルチミネラル | 成人1日量 |
亜鉛 | 成人1日量 |
マヨネーズの使用量を減らし、粉飴を使用している点以外は通常タイプと同じです。低脂肪タイプは膵炎などの脂肪制限が必要な疾患を併発している子のためのレシピです。特別な理由がなければ通常タイプをご利用ください。
作り方
①マカロニは塩を加えずにお湯だけでゆでます。
②じゃがいもは皮をむいて1cm角にカットし、たっぷりのお湯で20分ほどゆでておきます。
③卵は固ゆでのゆでたまごにして、細かくカットします。(①〜③を同じお湯でゆでてしまえば時短になります。マカロニと卵を一緒にゆで始める→マカロニだけ上げてじゃがいも投入→卵だけあげてじゃがいもを最後までゆでる。)
④サバ缶は太い骨を外して身をほぐします。
⑤全ての材料をよくまぜあわせて完成です。
栄養組成
(単位:g/1000kcal) |
腎臓病 療法食 |
通常 レシピ |
低脂肪 レシピ |
---|---|---|---|
タンパク質 | 35~50 | 44 | 43 |
脂質 | - | 41 | 24 |
EPA+DHA | 1.0~6.0 | 1.7 | 1.6 |
カルシウム | - | 0.7 | 0.7 |
リン | 0.5~1.25 | 0.5 | 0.5 |
カリウム | 1.0~2.0 | 1.3 | 1.3 |
ナトリウム | 0.2~0.75 | 0.6 | 0.4 |
エネルギー(kcal) | - | 980 | 1000 |
※野菜を除く
マカロニ
パスタならどれでも使うことができますが、マカロニは切ったりする手間がなく、安く入手できるので便利です。
パスタは製造過程で塩を使用しないのが特徴です。同じ小麦製品でも"うどん"や"そうめん"などは製造時点で生地に塩を練り込んであるため、塩分過剰になりやすくやや使いにくいのですが、パスタは塩分のことを考えずに使うことができます。
パスタは一般的には炭水化物源と認識されていますが、実際はタンパク質もかなり含まれていて、米の約2倍、乾物量として約12%のタンパク質が含まれています。腎臓病ではタンパク質の制限が必要なのに大丈夫なの?と思われるかもしれませんが、レシピ通りに作っていただければ問題ありません。「食事」全体としてバランスをとることが大切であり、「食材」のタンパク質の多い少ないを論じることにはあまり意味はありません。
全粒粉の製品が入手できれば、食物繊維も摂取できるのでおすすめです。全粒粉はリンをより多く含んでいますが、これはフィチン酸という吸収率の低いリンの形態なので大きな影響はないと考えられます。
マヨネーズ
植物油と卵、酢を主な材料とするおなじみの調味料です。そもそも犬に食べさせてはいけないものだと思っている方もいるかもしれませんが、栄養学的に食べさせていけない理由はほぼありません。マヨネーズの味を好むわんちゃんは多いので、食欲を促す意味でも活用していきましょう。
キューピーマヨネーズに代表される卵黄タイプと、味の素ピュアセレクトに代表される全卵タイプがありますが、全体の栄養バランスに与える影響は大きくないため、どちらでもかまいません。
おわりに
みんな大好きマカロニサラダ風のレシピを紹介してきました。ツナ缶を使いたくなる雰囲気かも知れませんが、ツナ缶には様々な製品があり栄養組成もバラバラで単一のレシピとして紹介しにくい点と、野菜エキスとしてタマネギが含まれているものもあるため、念のため使用を避けています。また、ツナ缶はオメガ3脂肪酸が少ないためサバ缶のほうが優秀です。
サプリメントを別にすれば、そのまま飼い主さんの食卓に並べることもできそうですね。愛犬と同じごはんを一緒にいただくのも楽しいものですよ。
【免責事項】
紹介したレシピは、すべての腎臓病の患者さんに適したものであることを保証するものではありません。かかりつけの獣医師の指導のもとで使用してください。ご利用は自己責任でお願いします。無断転載はご遠慮ください。
【参考文献】
・Small Animal Clinical Nutrition, 6th edition. chapter 37. Chronic Kidney Disease.(2020)
https://www.cliniciansbrief.com/
・Small Animal Clinical Nutrition, 5th edition. chapter 67. Acute and Chronic Pancreatitis. Mark Morris Institute.(2010)
・文部科学省食品成分データベース