ドイツ製アニモンダ社の食事療法食、インテグラプロテクトシリーズの「 腎臓ケア（ニーレン）」を紹介します。
当ブログでは、腎臓病のわんちゃんにできるだけ多くの食餌の選択肢を提供するため、市販の腎臓病用療法食の紹介もしています。アニモンダニーレンは、次のようなわんちゃんにおすすめできる製品です。
- 他社の療法食を食べない
- 療法食に飽きてしまう子
- 穀物にアレルギーがある子
- 比較的進行した腎臓病
原材料
最初にパッケージから原材料を引用します。
ドライポテト、鳥肉粉（低灰分）、ビートパルプ、牛脂、鳥タンパクハイドロール、鳥レバー、サーモンオイル、乾燥全卵、フラクトオリゴ糖、炭酸カルシウム、塩化ナトリウム、ユッカシジゲラ
鳥肉をメインにした、比較的シンプルなレシピになっています。なお、＂鳥＂は英語表記では＂poultry＂となっていますが、これは家禽（かきん）を意味する言葉です。必ずしもニワトリ（チキン）に限るものではなく、七面鳥（ターキー）やアヒル（ダック）なども含まれる概念です。ニワトリ以外の家禽は日本ではあまりなじみがないですが、欧米では割とメジャーな食肉のようです。
炭水化物源はポテトだけ。穀物を使用していない、いわゆるグレインフリーになっていますので、米、麦、トウモロコシなどの穀物にアレルギーのある子にもおすすめできます。
栄養組成
ヒルズとロイヤルカナン、大手２社の腎臓病用療法食を比較対照として検討してみます。なお、単位を統一するため、メーカー公表のデータをもとに筆者にて数値を改変しています。
| (g/1000kcal) | アニモンダ ニーレン |
RC | KD |
|---|---|---|---|
| タンパク質 | 33.9 | 35 | 35 |
| 脂質 | 49.6 | 45 | 50 |
| ω６脂肪酸 | (4.8) | 8.9 | - |
| ω３脂肪酸 | - | - | 2.62 |
| EPA+DHA | - | 1.2 | - |
| カルシウム | 1.8 | 1 | 1.52 |
| リン | 0.87 | 0.5 | 0.56 |
| カリウム | 1.82 | 1.5 | 1.76 |
| ナトリウム | 0.78 | 0.9 | 0.45 |
| L-カルニチン | - | - | 0.12 |
| エネルギー(kcal/100g) | 413 | 399 | 390 |
（KD:ヒルズ 「k/dドライ」RC:ロイヤルカナン「腎臓サポートドライ」）
100gあたり413kcalと、療法食の中でも高カロリーの設計になっています。カロリーが高いということは、より少ない量で必要な栄養を摂取することができるということなので、食欲の落ちてくる進行したステージの腎臓病に向いているとも言えます。
逆に、初期の腎臓病で肥満傾向の子にはあまりおすすめできないかもしれません。腎臓病ではダイエットはしない方が良いと考えられますが、かといって太りすぎてしまっても様々な面で悪影響が出る可能性があります。
タンパク質にはかなり強いレベルの制限がかかっており、大手メーカーの療法食に十分匹敵すると思われます。ただ、リンは総合栄養食の基準を下回ってはいますが、他社製と比べると少し制限が甘いかもしれません。
オメガ３脂肪酸については含有量の記載がないのが不安要素です。サーモンオイルが使用されているので、EPAもDHAも含まれてはいるはずですが、牛脂などの他の脂肪源もあり、割合は不明となっています。
形状と特徴
直径１cmくらいの丸く平たい粒で、硬さはややかためな印象です。
チーズを思わせるような、強い良い香りがします。わんちゃんにとっては味よりも＂香り＂の方が重要な要素であるとも言われています。おいしそうな強い香りというのは、食欲を刺激するために大きな武器であると思います。
まとめ
アニモンダの腎臓ケア（ニーレン）について検討してきました。栄養組成からは、大手メーカーの療法食にほぼ匹敵するものと考えられます。グレインフリーであるため、穀物にアレルギーがある子でも安心して食べることができると思います。
どちらかというと進行した腎臓病の子に向いている製品と思われます。他のグレインフリー製品から切り替える際の有力な選択肢となるでしょう。
療法食はずっと同じものを使い続けなければいけないわけではありません。腎臓病のステージや他の病気との関係によって治療も変えていく必要があります。定期的に診察をうけ、かかりつけの獣医師と相談しながら最善の方法を考えていきましょう。
※このシリーズには猫用もあります。デザインが似ているのでお間違いないようご注意ください。
【免責事項】
引用したデータは記事執筆時点のものです。ペットフードの原材料や栄養組成は変更されることもあるため、最新の情報については販売者に問い合わせてください。本ブログサイトは当該製品の製造者・販売者とは無関係です。
