イタリア製monge(モンジ)社の食餌療法食、ベッツソリューションシリーズから「腎臓サポート」を紹介します。
当ブログでは、腎臓病のわんちゃんにできるだけ多くの食餌の選択肢を提供するため、市販の腎臓病用療法食の紹介もしていきます。
ベッツソリューション腎臓サポートは、次のようなわんちゃんにおすすめできる製品です。
- 比較的早期の腎臓病
- 他社の療法食を食べない
- 療法食に飽きてしまう子
- 食物アレルギーがある子
- お腹の調子が悪い子
原材料
最初にパッケージから原材料を引用します。
乾燥鶏肉、タピオカ、カモ脂、ジャガイモ、乾燥ニンジン、鶏脂、ビートパルプ、乾燥パイナップル、乾燥オレンジ抽出物、乾燥魚、サーモンオイル、乾燥カモ肉、ミネラル類、トマト外皮、ビール酵母、ビタミン類、不溶性エンドウ豆繊維、キシロオリゴ糖(0.4%)、緑茶抽出物(0.15%)、L-カルニチン、凍結乾燥メロン果実(SOD源0.005%)、酸化防止剤(ミックストコフェロール、ローズマリー抽出物)
タンパク源としては鶏肉がトップに表記されていて、他に魚やカモなども使用されているようです。牛、豚、ラムなどの獣肉が使用されていないので、これらにアレルギーがある子におすすめできます。
炭水化物源はタピオカとじゃがいもがメインで、穀物を使用しないグレインフリーになっています。米、小麦、トウモロコシなどの穀物にアレルギーのある子には良い選択肢になるでしょう。
また、野菜やフルーツ原料も多くの種類が使用されているので、ポリフェノール類などの抗酸化物質も摂取できると考えられます。天然由来の酸化防止剤が使用されているのもうれしいですね。
栄養組成
栄養組成を評価するために、代表的な大手メーカーの療法食であるヒルズの「k/d」と、 ロイヤルカナンの「腎臓サポート」を比較対照として検討してみます。
(g/1000kcal) |
monge 腎臓サポート |
RC |
KD |
---|---|---|---|
タンパク質 | >43.9 | 35 | 35 |
脂質 | >43.9 | 45 | 50 |
オメガ6脂肪酸 | 9.95 | 8.9 | - |
オメガ3脂肪酸 | 1.68 | - | 2.62 |
EPA+DHA | - | 1.2 | - |
カルシウム | 1.55 | 1 | 1.52 |
リン | 0.93 | 0.5 | 0.56 |
カリウム | 2.07 | 1.5 | 1.76 |
ナトリウム | 0.5 | 0.9 | 0.45 |
L-カルニチン | 0.07 | - | 0.12 |
エネルギー(kcal/100g) | 387 | 399 | 390 |
※単位を統一するため、メーカー公表のデータをもとに筆者にて数値を改変しています(KD:ヒルズ 「k/dドライ」RC:ロイヤルカナン「腎臓サポートドライ」)
タンパク質については">"(~以上)の表記になっています。そのため正確な数値ではありませんが、少なくとも大手2社よりもタンパク質の制限がやや甘いと言えそうです。腎臓病が進行した段階では、尿毒症症状の管理が少し難しくなってくる可能性はあるかもしれません。
リンは総合栄養食の栄養基準を下回るレベルにはなっていますが、他社製品と比べるとやはり数値上は制限が甘いという印象です。タンパク質と同じで、初期の腎臓病では問題ないと思われますが、腎臓病が進行してくると、より早い段階で血清リンをコントロールするための他の治療が必要になる可能性が考えられます。
オメガ3脂肪酸は他社と比較しても十分な量が含まれており、腎臓病の進行を抑える効果が期待できると考えられます。
形状その他の特徴
中くらいのサイズのおにぎり型の粒で、固さは標準的なものになっています。
キシロオリゴ糖
キシロオリゴ糖はキシロースという糖がつながったオリゴ糖の一種です。自然界ではタケノコなどに微量に含まれているそうです。胃や小腸で消化吸収されることなく大腸まで届き、善玉菌のエサになるので、腸内細菌叢のバランスを整える作用が期待できます。腎臓病とは別に慢性的な下痢、軟便があるような子は本製品を試してみる価値があるかもしれません。
抗酸化物質
緑茶に含まれるカテキン類の一種である、没食子酸エピガロカテキン(EGCG)が添加されています。カテキン類もポリフェノールの一種ですので抗酸化作用が期待できます。抗酸化物質はオメガ3脂肪酸と相乗的に効果を発揮するため、腎臓病のときにも是非摂取したい成分です。
まとめ
monge社のベッツソリューション腎臓サポートを紹介してきました。大手メーカーの療法食と比較すると、タンパク質とリンの制限がやや甘いため、より早期の腎臓病のわんちゃんに対象が限定される可能性はあります。一方、味ではかなり美味しい部類に入ると思います。他の療法食を食べなかった子でも試してみる価値は大いにあると思います。
療法食フードでも手作り食でもそうですが、「食べない」→「食餌療法をあきらめる」という思考にはまらない事が大切です。あるいはベストな選択肢ではなくても、食べてくれるもののなかでベターなものを見つけてあげることで、腎臓病の症状や進行の速さに大きな影響を与える可能性もあるのです。あきらめずに新しいごはんにチャレンジしていきしょう!
【免責事項】
引用したデータは記事執筆時点のものです。ペットフードの原材料や栄養組成は変更されることもあるため、最新の情報については販売者に問い合わせてください。本ブログサイトは当該製品の製造者・販売者とは無関係です。